意図的な壁 (Intentional Friction)

意図的な壁 (Intentional Friction)とは、ユーザーエクスペリエンス(UX)において、意図的にユーザーの行動を妨げるステップを増やしたり、遅らせたりすることを目的としたデザイン手法です。これは、ユーザーが特定のタスクや機能を理解し、より熟慮された決定を下すための時間を与えることで、全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させることが狙いです。

意図的な壁 Intentional Friction UX 例

意図的な壁がなぜ効果があるのか

ユーザーが慣れ親しんだ操作や簡単な操作を選択することで、短絡的な判断を下すことが多いためです。意図的な壁を用いることで、ユーザーは一時停止し、自分の行動を考え直したり、より良い選択肢を検討する時間を得ることができます。結果的に、ユーザーは満足度の高い経験を得ることができるので、デザイン全体の効果が高まります。

意図的な壁の参考例

例として、何かを削除する前に確認モーダルが表示される場合が挙げられます。例えば、ユーザーがサービスで重要なデータやアカウントを削除しようとすると、確認モーダルが表示され、「本当に削除してもよろしいですか?」と尋ねられます。これにより、ユーザーは削除操作が永久的であることを認識し、意図しない削除を防ぐことができます。

しかし、意図的な壁は悪質な使用方法もあります。例えば、サブスクリプションのキャンセル手続きを行う際、キャンセル手続きを複雑にし、多くのステップが含まれていると、ユーザーはプロセスを完了することを断念し、サービスに引き続き登録されたままになることがあります。このような場合、意図的な壁はユーザーの利益ではなく、企業の利益のために利用されていると言えます。

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記事の著者
松下村塾株式会社 代表 ウルフ松陰    Twitter
松下村塾株式会社の代表として、国内外の企業にデータドリブンなグロース戦略とUXデザインを提供。LIFULLやTinderなどの大手企業で成果を上げ、データ活用による成長支援に注力しています。2016年にグッドデザイン賞を受賞し、現在はデータ分析による成長に基づくビジネス書を執筆中。
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